鈴木、ペットの里親さがしてるってよ

飼えなくなってしまったペットと里親希望者様との縁を結びます

悲報? それとも朗報? 猫をしつけることはできません

カーペットの上で寝転ぶ猫

 

これから初めて猫を迎えようとしている人に重要な事実をお伝えしておきます。

これを知らないとあなたと猫との関係は決して幸せなものにはなりません。

猫を飼うにあたっての非常に大切な心構えとなりますのでぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

 

さて、知っておくべき重要な事実とは何か?

それは猫をしつけることはできないということなのです。

 

どうでしょう?

驚きましたか?

もしかしたら「猫を飼い始めたらしっかりとしつけをするぞ」と考えていた人もいるかもしれません。

しかしハッキリと言っておきましょう。

猫をしつけるのは不可能であると。

 

かく言う私も、実は猫のしつけを試みたことがありました。

今も一緒に暮らしている猫が自宅に来た13年ほど前の話です。

 

猫が台所のテーブルの上に登る。

壁やソファーで爪を研いで傷だらけにする。

ゴミ箱をあさる。

棚の上から物を落とす。

 

などなどルール無視の傍若無人ぶりでやりたい放題という始末です。

味噌汁の椀の中に足をポチャンと漬けたこともありましたよ。

 

一体どうやってしつければ良いのか途方に暮れたものです。

悪いことをした時に大声で叱れば良いのでしょうか?

叩いて痛い思いをさせれば分かってくれるのでしょうか?

いえいえ、猫には分かってもらえません。

叩いたりしちゃダメですよ。

 

全く同じ状況で全く同じ叱られ方をするという経験を何十回もすれば、もしかしたら覚えてくれるかもしれません。

しかし全く同じ状況というのはなかなか起こり得ません。

似ているけれども違うという状況であれば、猫にはその共通点を見つけ出せないため、全く別の叱られ体験ということになってしまうでしょう。

また、悪いことをしたその瞬間に𠮟らなければならないということもしつけを難しくしている要因です。

なぜなら時間が経過してしまえば、その経過した時間におこなった行動のうちのどの点について叱られているのかが猫には分からないだろうからです。

そして猫はおそらく何かをおこなってもすぐにそれを忘れてしまっていることでしょう。

 

少し説明が長くなってしまいましたが、猫をしつけるのが不可能であるというのはこのような理由からなのです。

その事実を理解せずに執拗にしつけを試みるのは猫にとっても、またあなた自身にとっても決して良い結果を導きません。

 

イスの上の猫

さぁ、ここまで読んでこられたあなたは今ガッカリされているでしょうか?

「しつけができないなんて困ったなぁ」と肩を落としているでしょうか?

 

しかし実は猫のしつけができないというお知らせは悲報ではありません。

むしろその逆に、朗報であると言えるでしょう。

 

私は猫のしつけができないということを身をもって理解した時に、大きな安堵を感じました。

「しつけられないというより、しつけなくていいんだ」という安堵です。

 

そうです、猫はしつける必要がありません。

猫はやりたいように、自由気ままに生きる動物です。

そしてそれも猫の魅力の一つなのです。

 

猫のしつけから解放された私はその瞬間から猫の下僕となりました。

今まで猫の主人であろうと悪戦苦闘していた私は、実は猫が主人であり、私がその召使いであることを悟り、それを受け入れることで心の平安を手に入れたのです。

 

「どうぞ、もう好きにしてください」

「後始末をするのが私の役目です、ご主人様」

この境地こそが猫を飼う上でもっとも大切なことです。

 

もし猫にしてもらいたくないことがあるのなら、猫がそうできないように未然に防ぐしか方法はありません。

テーブルの上の食べ物を食べられたくないのならそこに食べ物を置かないことです。

大事なソファーを引っ掻かれたくないのならばソファーを別室に移してドアを閉めておくことです。

猫が何をしようと猫のすることはすべて正しい。

悪いのは自分。

この心構えがないと猫と幸せに暮らすことはできないのです。

 

さぁ、これから猫を飼おうとお考えのあなた。

もしくは現在猫と暮らし、時に猫に手こずることもあるあなた。

今日からあなたも私と同じように、猫様の下僕になりましょう。

 

しつけができない猫ですが、その猫を飼う上で楽な点が一つあります。

トイレトレーニングの必要がないという点です。

犬の場合は「ここがトイレだよ」と教えなければトイレの場所を覚えてはくれません。

しかし猫は違います。

猫砂を置いておきさえすればそこで用を足してくれます。

 

私は里親として迎えた猫が初めて猫砂トイレを使用した時の驚きを今でも覚えています。

「どうしてここがトイレだって分かったの?」

と猫に尋ねてみたくらいです。

本当に不思議です。

そこがトイレだなんて誰も教えていないのに、生まれて初めて目にしたその場所をトイレだと理解したのです。

「もしかしたらウチの猫は天才か?」

と狂喜しましたよ。

 

しかし実は天才ではなく普通の猫であること、もっと言えばちょっとトロい(ごめんね)猫であることが後に判明しました。

猫は砂のようなものがあるところで用を足す習性があるのです。

現在ペットとして飼われているイエネコの起源は、エジプトの西隣りの国リビアの名を冠したリビアヤマネコだそうですよ。

砂漠での暮らしがDNAに刻みこまれているのでしょう。

つまり猫砂をトイレとして利用したのではなく、トイレの場所を探した結果、部屋の中にある最もトイレとして相応しい条件を備えているものが猫砂だったというわけなのです。

 

ちょっとややこしい話になってしまって申し訳ありません。

結論として言いたいのは猫にトイレトレーニングは必要ないということです。

そして逆にそこをトイレとして使用させないようにしつけることもまた不可能なのです。

つまり猫をしつけることはできないのです。

 

「私をしつけてやろうだなんて傲慢もいいところよ」と愛猫にしつけられた私から、あなたへのメッセージでした。

どうぞ、猫とお幸せに。